mitsutabi

2019/02/06 12:41



長崎・五島列島を舞台に、自分と向き合う新しい旅の形を提案する「みつめる旅」。

 

五島の毎日の暮らしの中には、旅する人が心あらわれる風景がたくさん眠っています。

 

懐かしい感情を呼び覚まさしてくれる風景、

生きる喜びが湧きおこる風景、

大切な人と一緒に眺めたくなる風景……

 

そんな風景を、五島列島で活躍する写真家のみなさんと一つ、一つ丁寧に掘り起こしていくプロジェクトが、「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島です。写真家さんがレンズを通して切り取る、心にしみる五島の絶景。そこから、感じること、考えること、気づくことが、きっとあるはず。

 

今回の「毎日が絶景」は、福江島で活動する写真家・山口正江(やまぐち・まさえ)さんが撮った元日の高崎海岸(たかさきかいがん)。



  

福江島(ふくえじま)の三井楽(みいらく)地区にある高崎海岸。新垣結衣さん主演の映画『くちびるに歌を』(2015年公開)ではロケ地として使われ、五島きっての美しいビーチとして知られています。

 

毎年のように冬鳥として飛来するセグロカモメやオオセグロカモメ。福江生まれ福江育ちの写真家・山口正江さんは、冬場のカモメたちの撮影を楽しみにしているそう。40年間経営している喫茶店の仕事のかたわら、写真家としても活動しています。

 

この日は元日。「両親が始め喫茶店を継ぎたい」と東京で7年間仕事をしたのち五島にUターンした息子さんと、家族そろっておせちを食べたあと、旦那さんの運転する車で高崎海岸へ。


波打ち際には、一列に並んでいるカモメたちが。

 

雲の間から、一瞬パーッと光が差して海がキラキラと輝き始めます。



 

一年を通して、表情ゆたかに変化する五島の海。雲の間から差す光の具合によって、パステルカラーになったり、透明感のある鮮やかな色になったり。季節によっても、夏は明るいエメラルドグリーン、冬は藍色のような濃い青と、同じ海とは思えないほどにその姿を変え続けます。

 

変わり続ける海の色を眺めながらビーチを歩いていると、白砂に時々紅貝(べにがい)が落ちているのを見つけます。イチゴミルクキャンディーのようなつやつやとしたピンク色の、桜貝より少し細長い貝。見つけては拾って、喫茶店にやって来るお客さんにプレゼントします。

 

喫茶店の定休日は月に2回だけ。その休みのたびに、旦那さんの運転で島中の写真を撮りに行くのが山口さんの習慣です。午後からゆっくりと出かけて、海を撮ったり、夕日を撮ったりして過ごします。

 

何度も辞めてしまいたいと思うほど大変だった喫茶店の経営。毎朝8時半に開店して、21時半まで仕事は続きます。土日もお店を開けるので、お子さんが小さな頃は一緒に遊んであげられなくてかわいそうなことをしたと思っていたそう。でも、そんな息子さんが「お客さんと笑っている両親は楽しそうだった」と喫茶店を継ぐべくUターンを決意したことは、山口さんにとってはちょっと意外な出来事でした。

 

変わり続ける高崎海岸の海をみつめる山口さん。彼女の切り取った、五島の冬の風景でした。

 

写真を撮った人:山口正江



 

福江島生まれ。高校卒業後に京都の短大に進学。5年間を京都で過ごしたのちに、福江島にUターン。福江市街にある実家の隣で喫茶店「こふひいや」をスタート。子育てをしながら経営を続け、今年で40年。カメラは十数年間前にコンパクトデジタルカメラから始め、今では一眼レフで海や植物など五島の自然を撮り続けている。ブログ「ちょっとコーヒーブレイク」には、山口さんが日々撮影している五島の風景が掲載されている。

 

山口さんのお店:こふひいや

れんが造りの外観がおしゃれな喫茶店。春には蔦が芽吹いてお店の壁を覆います。

所在地:長崎県五島市栄町2-14

営業時間:月~土= 8:3021:30 / 日=10:0020:00

電話番号:0959-72-5777

※第1第3火曜日、年末年始は休業