mitsutabi

2018/11/20 14:11



旅とは、自分の体と心を日常から離れた場所に置いてみること。いつもと違う風と光を浴び、いつも違う人と言葉に触れ、「非日常」で五感を満たしてみる。昨日までの連続を、一度ぷつりと断ち切ってみる。

 

感じることが変わると、考えることが変わる。考えることが変わると、やがて生きかたそのものも変化していく。旅に出る前の自分と、旅から戻った時の自分に、わずかでも変化があったなら、それはきっといい旅だったと言えるはず。

 

長崎・五島列島を舞台に、そんな新しい旅の形を提案している「みつめる旅」。web版とpaper版の2つで情報を発信しているメディですが、今回は今年510日「五島の日」に発行されたpaper版「みつめる旅」vol.1についてです。



 

これまでにない旅の提案をしたい

 

みなさんはこれまでどんな旅をしてきましたか?

 

学生時代のバックパッカーとしての旅、幼馴染といく旅、カップルや夫婦でふたりきりの時間を味わう旅、そして気軽に参加できるツアー旅行。これまでいろんな旅を経験してきたみなさんが、次にしたい旅はどんな旅でしょうか。

 

私たちが提案していきたいのは、「生きかたを見つめる時間」としての旅。予定をあまり詰め込まず、旅先で起こる偶然に身をゆだねながらゆったりと、そこに身を置いている「今」を心から楽しめるような旅。そんな時間の中でこそ、これまでの人生について振り返ったり、自分や家族の将来について普段考える余裕のないことに思いを馳せたりと、特別な体験が生まれてくるのではないでしょうか。

 

そして、美しい海と空に囲まれ、信仰をめぐる歴史を持つ五島という土地は、「生きかたを見つめる時間」を過ごすのにぴったりの場所と言えます。



 

五感と心を揺さぶるフォトガイドブック


旅を、そういう特別な時間として捉え直してほしいという想いから制作した、フォトガイドブックpaper版『みつめる旅』では、次の3つのことを大切にしています。


その土地の息遣いが伝わる写真をセレクトする

ただ美しいだけじゃない、地元の人の暮らしが溶け込んだ美しい風景を、私たちは「絶景」と呼んでいます。撮影技術を重視しながらも、写真を通じてその土地で生きる人々の生活や文化、ひいては人柄までひしひしと伝わるような作品をセレクトしています。


②名所や名産品、観光スポットにこだわらない

掲載内容を決める際に「この土地ならこの名所や名産品は外せない」「この季節ならこのスポットは見逃せない」といった観点は重視していません。その写真に、現地を訪れたことのない人の心をつかむ心があるか。その点を最優先に考えて、取り上げる場所を選んでいます。


③検索すればわかる情報より、五感を揺さぶる情報を載せる

アクセス、イベント、宿、食事処などは、ネットで検索すればすぐに必要な情報は得られる時代。だからこそ、地元の人しか知らない情報、地元の人さえ知らない情報を重視した誌面づくりを心がけています。写真を通じて、その土地の匂いや音が伝わるような、五感を揺さぶる情報をお届けします。





 


写真はすべて地元の写真家さんが撮影

 

このフォトガイドブックに掲載されている写真はすべて、五島列島在住の写真家さんたちによって撮影されています。ずっとその土地で暮らし、一年を通じた四季の変化や、観光客の目にはほとんど触れることのない行事や風物詩を知り尽くしているからこそ撮れる風景が、この一冊に凝縮されています。

 

「昼下がりに墓地でアカペラを歌うシスターさんたち」「夜の雑木林の中で緑色の光をはなつ光るキノコ」「孫の名前をつけた船でひとり漁をするおばあちゃん」……そんな、地元の人しか知らない、五島列島の一面が息を呑むほど美しく写し出されています。創刊号となるvol.1には春と夏の風景が収録されています。



 

QRコードを読み取ると、撮影スポットがGooglemap上に

 

Paper版『みつめる旅』vol.1に収録された写真の撮影スポットも、掲載されています。撮影場所の住所、撮影時刻、撮影に使用した機材はもちろんのこと、誌面のQRコードをスマートフォンのアプリで読み取ることで、Googlemap上に位置情報が表示されるようになっています。



 

フォトガイドブックに掲載されている、「まさにこの風景が見たい!」と思えば、実際に五島を旅しながら、そのスポットを探しに出かけていけていくことも。天候と季節によってはまったく同じ風景は見られないかもしれませんが、これまでの観光ガイドでは取り上げられることのなかった「地元の人しか知らないスポット」と出会えること間違いなしです。


 

カバーの海は人口29人の「日島のビーチ」


Paper版『みつめる旅』vol.1は、一面ビーチの写真が印刷されたカバーに収められています。このカバーに使用されている写真は、新上五島町に属する人口わずか29人(2018年時点)の日島(ひのしま)の砂浜。五島列島で5番目に人口が多い島、若松島(わかまつじま)から橋で漁生浦島(りょうぜがうらしま)と有福島(ありふくしま)を渡った先にあります。



 

美しい海を見馴れた地元の人さえ「あそこの海は色が違う」と口をそろえる美しいビーチです。深いところまで砂地が続いているため、五島列島の中でも格別のブルーが広がります。

 

カバーは裏と表で一幅の写真になるようにデザインされています。突き抜けるような海と空のブルーを探しに五島に出かけたくなる、そんなリアルな色彩を印刷で丁寧に再現しました。


 

売り切れ次第、販売終了となります


Paper版『みつめる旅』vol.1は、たくさんのみなさんから出資をいただいてクラウドファンディングにより1000部限定で発行いたしました。印刷と製本に特別な技術を用いていて制作費がかかるため、現在のところ増刷の予定はございません。売り切れ次第、販売終了となります。

 

在庫は50冊(2019年2月22日時点)です。購入ご希望の方は、こちらのオンラインショップよりお早めにお申し込みください。続編となるvol.2の刊行も現在準備中です。秋冬の五島の魅力が詰まった一冊になる予定ですが、刊行時期は未定です。決まり次第、お知らせいたします。

 

 (記事中に掲載されている五島の風景写真は2点とも、福江島在住の写真家・廣瀬健司さんによる撮影です)