mitsutabi

2018/08/27 13:55


「地元の人が日々目にしている風景こそが、かけがえのない絶景である」という考えかたのもと、長崎県・五島列島を舞台に「新しい旅のカタチ」を提案している「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島。

2017年11月にプロジェクトがスタートしてから、paper版「みつめる旅」vol.1が生まれるまでをまとめてみました。



2017年11月、プロジェクトがスタート

プロジェクト誕生のきっかけは、友人の移住をきっかけに家族で五島に遊びにやってきた東京の編集者・鈴木円香と、五島で活躍する写真家・廣瀬健司さんが出会ったこと。「五島は絶対いい場所だから、もっと全国に広めるべきだ!」と意気投合、写真を通じてまだ知られていない五島の魅力を発信していくプロジェクトを東京と五島のリモートチームで始動しました。

プロジェクトが最終的に目指すところは、長期安定して五島に人の行き来を増やすこと。五島の本当のよさを理解してくれる人を一人でも増やして、旅行、2拠点居住、U・Iターン、ビジネスなど、さまざまな形で五島に関わってもらえるようにすることです。



でも、「五島の本当のよさ」とは何だろう?

突き詰めて考えてみると、それは、豊かな自然とおいしい食事に加えて「自分と向き合えるような、ゆったりとした時間が流れていること」ではないか。地元の人の中には「過疎化が進んでいく何もない島」と言う人もいるけれど、その「何もなさ」の中にこそ、東京や他の都市からやってくると信じられないほど発見がたくさんあるものです。

今の時代、いろいろな発信手段がありますが、活動の第1弾として私たちは「本」というスタイルを選びました。写真家にとって写真はたいせつな「作品」です。一つひとつの作品をきちんとレスペクトできる媒体(メディア)とは何か?と考えた結果でした。

2018年1〜3月、クラウドファンディングで制作費を調達

こうしてpaper版「みつめる旅」vol.1の制作がスタート。

地元の写真家さんへの声がけや写真のセレクトと並行して、クラウドファンディングサービスCAMPFIREで2018年1月12日から3月11日の2か月にわたり資金を集めました。たくさんの方々に応援していただいて初日で目標金額の50%を達成。最終的には、118%の達成率で168人の方々から178万200円を集めることができました。このお金に予約購入で得られた売上を合わせて、本の制作費にあてました。



2017年12月〜翌年4月、五島と東京のリモートで本を制作

五島の写真家さんと東京の編集者が、毎日のようにFacebookのメッセンジャーと電話でやりとりを重ねながら、原稿やゲラのチェックを繰り返し、約5か月かけて次第に形になっていきました。実際に郵送でやりとりしたのは、写真の色見本と色校だけ。すべての編集作業が五島・東京間でオンラインで進められるという、今の時代ならではの本づくりでした。

そして、その制作の様子は、プロジェクトの応援メンバー約650人が参加するFacebookグループでリアルタイムで共有。「今日はデザインラフができたよ」「やっとゲラになったよ」「製本方法が決まったよ」と制作の過程を見守っていただきながら一歩ずつ進んでいきました。




わざわざ「本」という形にするのだから、「モノ」としてのたたずまいにこだわった第1号。束見本を4種類制作して、全体の質感や紙の開きかたなどをチェック。関わってくださった東京の印刷所のみなさんも、最後の最後まで粘り続けて色味の調整をしてくださいました。

2018年5月10日、「五島の日」に第1号が刊行

そして無事に5月10日「五島の日」に、フォトガイドブック「みつめる旅」vol.1が発行されました。五島に店舗をお持ちの方から「うちにも置きたい」とメッセージを続々いただき、最終的には列島全体で15の店舗で販売されることになりました。東京では、日本橋長崎館、代官山蔦屋書店、ジュンク堂池袋本店(6月18日から7月31日までの期間限定)で販売されることに。それ以外では、オンラインショップでの直販のみという流通スタイルをとりました。



2018年6月1〜14日、出版を記念した写真展を開催

「みつめる旅」vol.1の刊行を記念して、6月1日から14日までの2週間にわたり銀座ploomshopに併設されているギャラリーBasement GINZAにて、写真展「光あまねく五島 A holy sunny day in GOTO」を開催しました。初日のオープニングパーティーには、五島の写真家チームのリーダー、廣瀬健司さんが参加。このプロジェクトの立ち上げから応援してくださっているみなさんも加わり、立ち上げ以来ずっとリモートで活動してきたプロジェクトが、初めてリアルな場で一体感をもてた瞬間でした。


おかげさまで、初版1000部はほぼ完売しました

発売から2か月も経たずに、初版1000部のうちほとんどが完売し在庫100部を切りました。vol.1の増刷の予定は今のところありませんが、すでに次号の制作に向けて、五島の写真家チームが動いています。春夏の写真が中心だったvol.1、vol.2では秋冬の写真を取り上げていく予定です。刊行時期がみえてきましたら、こちらのサイトにてご報告させていただきます。

五島と東京。遠く離れた2つの場所でやりとりを重ねながらゆっくりと進んでいる「毎日が絶景」PROJECT in 五島列島と、そのメディア「みつめる旅」を引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。